被害者:
Bさん。10代後半の女性。
被害の概要:
小学校高学年のときに兄から半年間に渡って複数階の被害を受けた。
誰にも言えないまま思春期を迎えた。
【被害者の心】
しばらくの間「されたことが頭の中でぐるぐる回る」という症状がありました。食事が苦痛で、空間が歪むような変な感覚がありました。でも、もし家族に知られたら大騒ぎになるだろうし、受験生の兄にはストレスもあるだろうし、兄をしたっていた自分が五個かで誘ったのかもしれないという罪悪感もあり、こころの中にしまいこみました。兄が部屋に入ってくると、自分の心を虚ろにして「その時間」をやり過ごすようになりました。もし拒否したら妹が被害に遭うのではないかという不安もありました。
Bさんは、学校ではクラブ活動や委員会に参加し、勉強も好成績をあげ、活発に適応しているように見えました。本当は「あの部屋」に戻ると嫌な感じがして、なるべく家にいたくなかったのです。でも、どんな人からほめられても「何かがおかしい感じ」「どれだけ努力しても満足できない感じ」はやみませんでした。
「男子生徒のまなざしがいやらしく思われて恐くなる」「男子生徒の手がベルトにいったりすると、自分のされたことが頭の中でぐるぐる回る」。同級生が引き金になってフラッシュバックが起きるようになったのです。学校には行きづらくなり休みがちになりました。「もう普通の恋愛や結婚は出来ない」と絶望的な気持ちになりました。「体の形がおかしい」きがして、鏡に映してみたりしました。
Bさんの症状は、兄が地元に戻ってから、さらに悪化しました。このように関係性の深い人が加害者であるとき、その関係性に応じた様々なトラブルが起きてきます。Bさんの場合、後日、兄に恋人が出来たり、結婚話があったりするたびに、焼けつくような怒りを感じる自分をさらに責めるという、つらい状況が続いたのです。
Bさんは不登校になってから、てれ蔵に電話をして話があった人と会う約束をして、それが援助交際に発展しました。それまで、頑張りながらも全然自信がなかった自分が、初めて相手に受け入れられた気がする一方で、やはり自分は性的なことでしか受け入れられないのだという、自嘲の気持ちがありました。行けないという気持ちがありながらのめり込み、自分を罰しているような気持ちもありました。そんなとき、ふと行ったリストカットもくせになってしまいました。援助交際を長く続ける過程で、少しずつ生活はすさんでいきました。あるとき、望まないスタイルの性交を拒否したところ強姦され、これを契機に援助交際をやめました。
Bさんは、援助交際をしてさらに傷ついた自分を長い間責めていました。
Bさんが、不特定多数の人と援助交際していた時には「相手の数だけ自分がいる」ような感覚がありました。



